第1章 Z=1 魔導士R
「なぁその、医者ってなんだ?」
ルーチェが無言で肯けば、クロムから新しい質問が飛んできた。
「医者は、病気の人を救う人の事。病気の人を治したり、病気の原因を探したり、する。」
出来るだけわかりやすく、簡潔に、この時代の人達にも伝わるように説明をする。
クロムたちはすげぇとか言って目をキラキラさせている。
「つまり、ルーチェ、君はルリ姉を治せるかもしれない、のだな?」
コハクは期待の光を瞳に宿らせルーチェに問いかける。
「病気の原因次第。あと、設備、薬次第、になる。」
ルーチェはあくまで冷静に現実的に答えた。その上で千空の方をちらっと見る。
(診断が先。今の段階ではわからない。)
抗生物質で大抵の病気は治る。
だが、菌の種類や病気の症状によっては、どれだけ薬草を揃えようが無意味なこともある。
文明が失われたこのストーンワールドでは知識だけでば太刀打ちできない。
ドラマなどのように奇跡的に治癒できる展開も、現実世界ではきびしいものだ。そうそうに行き詰まるだろう。
それらを考えていると、思わずため息を漏らす。
「はっ!1人では無理かもしれないが、ルーチェ、君には科学王国という強い味方ができたんだ。できるだろう。」
「おうよ。足りないものがあったらみんなでとりにいったり、つくったりすりゃいいじゃねぇか。」
「スイカもおやくにたつんだよぉ!」
彼らは励ましの言葉をルーチェに掛けた。
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