第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
ゲンはやっぱり気絶してるでしょー、と思いながら口元に手を当てる。
すると弱々しいが息遣いを感じ、ゴクリと唾を飲み込む。
(ま、まさか、寝てる…?)
ゲンは一か八かでルーチェを抱き寄せ、そっと囁く。
「ルーチェちゃんおきて。シーラちゃんが来てるよ。」
そう囁くと、ルーチェはバチッと目を開け、身体をおこす。
「か、母様、どこにいる??」
周りをキョロキョロとみまわすが、シーラらしき人影は見当たらず、瞼を閉じて気配をたどっても感じ取れない。
夢だったのか、と瞼をあけると、そこには漆黒の瞳と綺麗な顔立ちが広がった。
「おっはー、ヘマタイトちゃん♪」
「おわ、、あさぎりゲン。ちかい。」
「気持ちよく寝てるところシーラちゃんで起こしてごめんねぇ。ルリちゃん、だっけ、あそこに重病患者がいるからさぁ、もうちょっとがんばってくれない?」
そういって、ゲンはルリの方を指さす。
ルーチェも思考がクリアになってきたのか、咳き込み吐血しているルリをみて立ち上がる。
「す、すまない、ゲン。起こしてくれてありがとう。」
「いーえー。診察がんばってねぇ。」
ルーチェはゲンの言葉にこくりと頷き、ルリの元へと向かう。
ルリはコハクが背中を擦っていたためか、少し落ち着いてきてはいた。
ひとまず、手に着いた血を拭かねば、とおもい、ズボンを破ってルリの手の上の血を拭き取る。
その後は脈をとって、先程とかわりがないことを確認した。
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