第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
「第4試合、クロム対ヘマタイト、試合はじめ!」
試合開始の合図がなされ、クロムは槍を構えてルーチェの中心部目掛けて突きを行う。
ルーチェはその突きを軽々しくかわし、再びクロムから距離をとる。
クロムは悔しそうに歯をギリっと鳴らし、槍を構えて突きを繰り返す。
ルーチェは涼しい顔をしてそれを避ける、ということの繰り返しで、試合の決着はなかなかつかない。
やがて2人とも体力が尽きたのか睨み合う時間になる。
先に口を開いたのはクロムだった。
「ハァハァ…避けてばかりで……こうげきし…てこねぇじゃなぇか。さっきのマグマとの戦いで疲れたか?」
「ぐっ、クロム、僕も、体力は……む…げんじゃ、ない。」
「あぁ、そうかよ。なら、次の一手で決めるか。」
「賛成だ。」
そういって2人は再びそれぞれ武器を構える。
そして、示し合わせたかのように同時に動き、ルーチェは首筋を、クロムはルーチェの腹をねらって武器を振り下ろす。
バゴッ。
2人はそれぞれ相手に一撃を与えた音を感じた。
ふっと視線を絡めあったあい笑ったあと、2人同時に倒れた。
「あららぁ、どーすんの?千空ちゃん。」
「知らねぇよ。てか、科学王国としては勝ってんだからどっちが勝とうが……あ?」
「ヘマタイト、だっけ?あの瞳は完全にルーチェちゃんだよねぇ。ルーチェちゃんに一生男として生きてもらうのぉ?」
千空は苦虫を潰したように舌打ちをして、クロムに向かってさけんだ。
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