第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
村始まって以来の出来事に、2人は少し考えさせてくれ、といって奥へと引っ込む。
そして、奥で試合を見守っていたルリに経緯を説明し、意見をきいた。
「というわけだ。ルリ。ヘマタイトとかいう男とクロムが戦えば勝ちはあきらかにヘマタイトだ。千空、もしくはヘマタイトどちらかに嫁ぐこととなる。どうしたらいい。」
ルリはその言葉に動揺する。
クロムはそれでも戦ってくれる、と想ったからだ。
クロムが言っていた自分を救う、という言葉を信じてまってたのに、それは叶わなかったことにショックを受けた。
が、村の掟は掟。
御前試合の優勝者に嫁ぐ、そういう掟なのだから従わなければならない。
少し深呼吸をして決意を固めたかのようにコクヨウの方に向き直る。
「構いません。私は御前試合の優勝者に嫁ぎます。」
「そうか。」
ジャスパーとコクヨウはルリの決意をきき、どうするか意を決したのか、ルーチェたちのもとへともどった。
そして、クロムの方へ向き直り、険しい顔で議論の結果を発表する。
「クロム、そればかりは聞けん。正々堂々試合をしろ。」
「いや、無理だろ。」
いいからやれ、と言わんばかりに無言で土俵の方を見る。
クロムはジャスパーの視線が向いた土俵へと渋々おりたち、ため息をつく。
「はぁ、わぁったよ。ちっとは手加減してくれよな。こちとら、ヒョロがリなんだからよ。」
「善処する。」
.