第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
「降伏しない。金狼の仇を打つ。」
「ふっ、そうかよ。なら、ここでその顔をぐちゃぐちゃにしてやるぜ。」
そう言ってマグマはいっきに間合いをつめ、その大剣を振りかざす。
ルーチェも大剣を構え直し、かけだす。
どちらともなく、一進一退の状況がまた続く。
今度はルーチェの方から距離をはなした。
(このままだと、こちらの体力が危ない。強化魔導を使用したとはいえ、マグマなんていう力だ。)
マグマは距離をゆっくりと詰めてくる。まるで獲物狩りを楽しむように。
「おう、もう限界か?だったらさっさと降伏しな。その証に俺の足を舐めろ。そしたら村のドレイとしておめぇもその余所者も生かしてやるよ。」
そう言いながら、足をルーチェの前に差し出す。
その言葉には従えない、どうしたらいい?と考えていたところに、ぶわっと甘い香りがただよった。
「ふぅん、そっちの格好も素敵だね。口説きたくなっちゃうよ。でも、いまのその不安げな気持ちダダ漏れだと、イケメン度も半減かな。」
「…ゲン!」
声と香りの元を辿ると建物の屋根の上に、紫の衣をまとい、不敵に笑うマジシャン、あさぎりゲンがいた。
「お、おまえ、余所者妖術つかい…な、なんで生きて。」
「どうもぉマグマちゃん♪妖術で生き返ってきました。はっ!」
なにやらゲンが妖術使いっぽい動きをすると、その場にピンクの花びらが舞い散る。ルーチェは、その花びらから何かを感じとったのか目を見開いた。
(か、母様とわたしの、瞳の色…)
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