第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
「卑劣な男だ。マントル、貴様…」
そう叫んで、橋を一気に駆け抜ける。
ルーチェもコハクを追うべくかけ出すが、手首を何者かに捕まれ、動けなくなる。
ルーチェは後方の手首を掴んでいる相手の方を睨む。
「離せ、千空。コハクがぬけたら…」
「あほか!今てめぇを行かせるわけにはいかねぇ。それにコハクの超スピードにおいつけるのか?地理も分からねぇてめぇが行けば戻りがいつになるかなんてわかんねぇ。その間にもし、金狼が負けるようなことがあれば速攻詰みだ。」
「でも。」
「コハクのバカが暴走していっちまった以上、てめぇが最終防衛戦だ。わかったな。ヘマタイト。」
千空の力強い言葉と、手首から感じた思ったより強い腕力に悔しそうな表情になる。
だが、千空の言うことも最もだ、と頭では理解したのか、体の向きを千空たちの方へと向ける。
「悪かった。もう、勝手なことはしない。手離して。」
「あ、あぁ、わりぃ。」
割とそこそこ力をこめてたのか、ルーチェの手首には千空の手形がうっすらとのこっていた。
手首が少し痛むので、少し擦る。
「意外と、力つよい。」
「あぁ、ヒョロガリなりにこのストーンワールドを生き抜いてきたからな。試合に影響でるか?」
「問題ない。金狼が勝てば。仮に負けても、仕留める。」
ルーチェの回答にふっと、わらい、そんじゃもどるぞー、と声をかけ、みなを引連れて会場へともどっていった。
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