第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
「千空、ルリの容態…って、隣のヤツだれだ?ルーチェに似てるよーな…」
「ククッ、正解だ。今日限定で男の振りをしてもらってる。女だとバレねぇように例の力で声も変えてもらった。」
「は!妖術とはめっぽう不思議だな。声まで変えれるとは、ヘマタイト、君は凄いぞ。」
「へ、へまたいと?」
「ククッ、それがおめぇの偽名、か。なかなか様になってんじゃねぇか。天然石で、戦守りの石の名前だ。おあつらえ向きじゃねぇか。」
「…母様たちがもってた石からとった。それだけ。」
ルーチェの容姿や名前をひたすら褒められたのが恥ずかしいのか、そっぽを向いて、誤魔化す。
そんなやりとりをしているうちに、ぐじ引きの時間がせまってきたのか、参加者は板の前に集められた。
千空たちもくじを引き、発表をまつ間、八百長、だの、コハクかルーチェがマグマをたおせたら、だのと話を進める。
そして全員がくじを引き終えたのか、看板に結果が発表される。
「対戦組み合わせを発表する!第1試合は、金狼対マグマ!」
一同はその発表をきいたときに、真っ白に固まった。
「くっ、これは、対策を練らなければ。」
「あ゛あ゛、ちげぇねぇ。科学王国民共、1度ラボに戻るぞー!対策練り直しだ!」
そう千空が叫び、橋の方へと猛ダッシュする。
それに続いて、科学王国民は千空の後ろに続き橋の向こうへと引き返した。
その様子をただ、ただ放心した状態で村人たちは、ただ見守っていた。
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