第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
「せ、千空、いま、そのものの事を千空、といいましたか?」
ジャスパーとコクヨウが2人で話をしていたところ、後ろから凛とした声が響く。
彼女こそがこの村の巫女であるルリだ。
「なんだ、あったことがあるのか?ルリ?」
「いえ、あるはずもありません。それでも、彼を千空を知っているのです。何年も、もっと悠久のはるか昔から…」
そういってルリは巫女の住まいから一気に階段を駆け下り、2人の静止も聞かず、千空の近くへといく。
「千空さん、ですね。」
「てめぇが巫女のルリか。ようやくご対面だなぁ。」
千空はご対面、といいながら、ルリに背を向けたまま話す。
ルーチェは、腕を組みながら、そっとルリの様子をうかがっていた。
(いまのところ心拍数に以上はなし。息遣いや会話からわずかだが、弱々しい息遣いを感じる。あとは顔色が悪いぐらい、か。)
ルリは千空の横にたつ、ルーチェのことは視界に入らないのか、そのまま言葉を続ける。
「私はどうしても、聞かねばならないことがあります。千空、貴方の苗字はなんですか?」
そうルリから発した苗字、という言葉に2人はピクリと目を動かす。
原始的な村で苗字、という文化がないのに、なぜ巫女はそれをしっているのか、2人は疑問に思ったためだ。
「み、苗字とは、名前の上につくもう1つの名前、で…」
「あぁ、知ってる知ってる。」
「もしかして、あなたの苗字は…」
そういってルリが駆け出そうとしたとき、ルリはバタッと倒れた。
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