第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
赤くなりながらもあぁ、といって、ルーチェの頭を雑にワシャワシャと撫でる。
「とりあえず、行くぞ。遅刻するからな。」
「うん。」
そう言って2人は女子寮を後にして、村へとむかった。
2人は道中、無言で歩く。
ルーチェの方が少し後ろの方を歩く。
2人の目標は一緒で、それにむけて今日は負けられない、と念じる。
しばらく歩くと橋がみえてきて、その橋を踏みしめるかのように渡る。
村の入口には金狼と銀狼が門を閉じるかのように槍をクロスしていた。
が、2人の到着が見えたとき、槍を真っ直ぐに持ち直した。
そして、コハク、クロム、スイカ、その他の村人たちが見守る中、ルーチェと千空は村へと降り立った。
「村に初めて降り立つ、1歩目だ。」
「今日の戦いが全てをきめる。」
ふたりは1歩目を重く感じ取った後、すたすたとトーナメント表の近くのくじにむかっていく。
その様子を見守る二人の影、村長のコクヨウとジャスパー、が、なにやら耳打ちをしていた。
「あの男、たち?でいいのか。余所者というのは。」
「はい、名は千空と、もう1人の方はヘマタイト、と申すそうです。」
「千空、という男はわかるが、ヘマタイト、だったか?そやつは女に見えるぞ。」
「銀狼によれば、れっきとした男性、ときいております。」
2人は男装したルーチェのことをまじまじと見つめる。
優勝しそうな感じでは無い、と判断したのか、視線は千空へとうつされた。
.