第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
「ち、ちけぇよ。つか、なんだその格好。」
「男装、のつもり。一応男として参加、してる、から。」
「ほーん。」
千空はまじまじとルーチェを見る。
ルーチェの服装は、ヘアセットなどは男性っぽいが、シャツは明らかに女物、パンツは気を使ったのか男物のスラックスぽいデザインで、チグハグな格好である。さらにスーツでもないのに片眼鏡というのがなんとも言えない矛盾に感じた。
だが、その矛盾点すらも美しいと思わせるほどよく似合ってるのが何とも言えない。
「ま、まぁ、変ではないな。シャツが女物、で、フォーマルでもないのに片眼鏡ってのもなぁ。つか、なんで片眼鏡。」
「昔読まされた日本の漫画に出てくる男の人がこれ付けてた。」
「何読まされたんだよ。てか、ルーチェも漫画読んでたんか。」
押し付けられたものだけど、と付け加えて、視線を下に落とす。
千空はポリポリとあたまをかき、あー、まぁ似合ってんじゃね?と零した。
「と、とにかく、現代人が見たら、卒倒するやつが出てくるかもな。
けど、今回は村人相手だ。視線は避けようがねぇが、変だとは思わんだろ。いつもの髪型なら明らかに女とわかるが、そのセットした髪型なら男に見えんこともねぇ。」
「ほんと?」
ルーチェは嬉しそうに顔を見上げる。
ルーチェの身長は155センチ、対して千空は171センチ近くあるため、必然的に見上げるアングルになり、また少し赤くなる千空であった。
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