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幻想科学物語

第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民






翌朝、朝日がやって来るとともにいつも通りに目覚めるルーチェ。
ルーチェは、体を少し伸ばし、隣の方に視線をやる。


昨夜、魔導を駆使して作り上げた藍色のズボンが丁寧に折りたたまれている。
もっとも、彼女がそうなるように魔導をかけていた、というだけではあるが。


彼女はマントとスカートを脱ぎ、できたズボンを着用してみる。
鏡で確認したいところだが、このストーンワールドでは鏡はなかなか入手が難しい。


着替えが終わると、スカートとマントは丁寧に畳み、枕元へと置いておく。そして、昨日作った片眼鏡をつけ、髪の毛をある程度クシャクシャにセットし、流す。そして、髪型を固定する様に手をかざすと、普段はボブヘアの白髪が綺麗にセットされた。


「おー、おせぇぞルーチェ。とっとといかねぇとくじ引きに…」


支度を終えたルーチェを呼びに来た千空はポリポリと首を鳴らしながら遠慮なく部屋へと入り、ルーチェの姿を見て固まる。
ルーチェの容姿は男性、とは言い難いものの、抽象的な容姿で男とも女とも取れないどこか不思議な美しさがあったからだ。
その姿にさすがの科学少年も顔を少し赤くする。


「おはよう。顔赤い。熱がある?」


千空の声が聞こえたのか振り返ると、そこには顔を赤らめた少年がいた。
ルーチェはこんな大事ときに緊張したのかな?と顔を近づけ、自分の額と千空の額を両手で触る。


「熱は…微熱、かな。」


そう呟いた声に千空はさらに顔を赤くした。


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