第6章 Z=5 魔導騎士と科学王国民
コハクはしばらく項垂れていたが、はぁとため息をついて、千空の方を向く。
「しかし、千空、君の戦闘力では優勝は厳しいと思うが。」
「ふっ、勝つ気はねぇよ。相手疲れさせれば儲けもんだ。」
「それに、ほら、仲間同士の試合になったら、負けた振りして勝ち上がれるよね!?味方戦士が多ければ多いほどよくない!?」
銀狼のゲス発言に少し落ち着きを取り戻した銀狼がまた口をあんぐりあけて叫び、固まる。
コハクはその発言に少し納得したのか、まぁそれなら、という感じで立ち上がる。
千空は、銀狼と一緒になり八百長バンザーイと騒ぎ立てていた。
その声をきき、固まっていた金狼が意識を取り戻し、はっと、首を振る。
「いかに大儀があろうと、ルールはルールだ!俺は八百長など、しない!正々堂々戦う。」
「「どうぞどうぞー♪」」
千空と銀狼が声をそろえて、悪巧み思いついた子供のような笑顔を浮かべながら声をそろえる。
その様子には流石のルーチェもうわぁ、と目をジト目にして引いていた。
「コハク、アレって…」
「あの二人には何をいっても無駄だろう。2人ともゲスさだけは凄いからな。」
ルーチェは銀狼と問答を繰り返している千空達を横目に天を仰ぐ。
この試合、どうなるのやらと心配になった。
「そういえば、ルーチェは、女性、であってるか?」
コハクの急な問いかけに、ビクッと肩を震わせる。
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