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幻想科学物語

第5章 Z=4 ガスマスク+シールド>H2SO4






2人は銀狼のつぶやきが聞こえ、銀狼の方に視線をむける。
銀狼は、さらに続けた。


「怖いにきまってるじゃんよ!死ぬかもなんだよ!?はぁ、やだなぁ。ああいう無謀なのに勇気あるぶっちゃってさぁ!」


「黙って逃げんでわざわざ悪態つくっちゅうことは、怖がっている自分の弱さに引け目を感じじゃってるんじゃのう?」


「あ、いや、おれは別に…」


そういって銀狼はまた膝を抱えて座りなおす。
ルーチェは、そっと金狼のそばにより、安心させるためか、無言で横に座る。


「安心せい、銀狼。主はちぃっとも、弱くない。怖がりは長生きの秘訣じゃ。じじいが言うと説得力ビンビンじゃろ?わしも、怖がりじゃった。みなも、内心怖がりかもしれんよ?」


カセキの言葉に再度特訓場に視線をむけた。
銀狼は、金狼がモヤモヤ病でありながら、マグマと戦わなくてはいけない、それがどんなに怖いことなのか、を想像し、顔を上げる。


「じゃが、なにか大切な物のために理屈と心で恐怖に勝とうとしてる。よう知らんけど、ワシにはそうみえるのう。」


ほれ、ガスマスク1個多く作ってしまったわい、と行ってその場を後にするカセキ。
カセキの言葉に心を動かされたのか、ガスマスクを見つめながら、隣にいるルーチェに声をかける。


「ルーチェちゃん、その、ガスマスク、使えるようにしてほしい。」


「…わかった。」


ルーチェは無言で立ち上がり、ガスマスクの底面と背中側に魔導陣を手早く描く。
描き終わったと同時に手早くガスマスクを背負い、ありがとうと短くお礼を言ってから、千空たちが歩いていった方へ走り出した。


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