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幻想科学物語

第5章 Z=4 ガスマスク+シールド>H2SO4






「ルーチェ、実は、その、大変言いづらいんだが…」


金狼がそう切り出すと、ルーチェは顔を上げて金狼の方を見る。


「何?」


「その、実は、銀狼が見たと言うんだ。ひとりでに動く、物体やら、その、どこからかものが次々と出てくるところ、とか。俺は最初、銀狼の見間違いだろう、と取り合ってはなかった。もしかして、それと関係あるのか?」


金狼は真剣な眼差しでルーチェの方を見ながら尋ねる。
ルーチェは無表情のまま、ただそこに座っていた。
すると、スイカが、ルーチェを励ますように、ちょこちょこ近づき、無邪気に手を握る。


「ルーチェ、スイカはね、カセキじいちゃんと金狼にも言っておいた方がいいと思うんだよ。2人はきっと分かってくれると思うんだよ。」


スイカの真っ直ぐな言葉に、今まで起きたことや、不安や懸念点が頭の中に過ぎる。
と、同時に司帝国とやらで母はまだ生きているという希望を思い出し、どうするか悩む。


(母様はまだ生きているなら、もしかしたら村の人達や千空の協力がいるかもしれない。なら、2人になら打ち明けておいてもいいのか?それに、なにか、力になれるかも。)


胸元の鍵のネックレスをチラッとみて、なにかを決意したように深呼吸をする。


「2人とも、隠してごめんなさい。わたしは、あなた達が言うところの"妖術使い"。」


「なっ、それは、本当かね。」


「千空たちと同じ、科学、とやらではないのか?」


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