第5章 Z=4 ガスマスク+シールド>H2SO4
「村、だと?俺たちの育った村の他に村があるのか??」
「もう、滅びた、けど。」
金狼の食い入るような質問に対し、答えるが、ルーチェは村のことを思い出し、少し目を伏せる。
それをみた、他のメンツもなにかを察したのかそれ以上はなにもいわなかった。
が、カセキがズズっとお水を飲み、口を開く。
「にわかに信じ難いのう。滅びたとはいえ、村が存在していたというのは。」
「えっと、千空が言うには、3700万年前にはもっとたくさんの人がいて文明っていうのが栄えてたんだよ!石像も、なんか元は人だったらしい、っていってたんだよ。」
スイカは千空から聞いた事を金狼とカセキに次々と話していく。
にわかには信じ難い、と顔をしながらも、金の槍や電気といった、みたこともない物をみてきた金狼にとっては、もしかしたら、と信用し始める。
「ただね、ルーチェの村は違ったみたいなんだよ。ルーチェが育った村は、別の理由で…」
「スイカ!」
これ以上は話さないで、とスイカに向かって唇に口を当てて内緒という合図をする。
いつかはこの人たちにも言わなければいけないが、今はその時ではないだろう。
(千空によれば、金狼や銀狼、コハクは最初、科学を"妖術"といっていた。それ自体は不思議なことでは無い。が、本物の妖術使いと名乗れば今度こそ殺される、かも。)
スイカはルーチェの合図を理解したのか、してないのか、こてん、と首を傾げた。
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