第2章 防衛隊選別試験
「ほしな、ふくたいちょ…。」
「っ!なんや!目ぇ覚め……。」
呼ばれた気がしたから、いくつもの管に繋がれた彼女の顔を覗き込む。
目は覚めてなかった。
四ノ宮キコルは日比野カフカ、市川レノの2人が手を貸したことで避難できたが、三浦美影はあまりにも酷い状態だったので、動かしてもいいのかわからずそのままにしたようだ。正しい判断だ。
亜白隊長と僕が駆けつけた頃にはすでに意識はなく、肺を損傷していた。
医療班が全力を持って治療し、なんとか一命は取り留めた。
それにしても、何故僕を呼んだんや?
「保科、三浦はどうだ。」
「隊長!医療班が言うにはもうじき目を覚ますようです。」
亜白隊長が病室に入ってきて、三浦を見ながら問うた。
僕の言葉を聞いて、そうかと言って病室を去っていく。
話を聞く為にここにいるが、三浦は僕がここにいるのは知らんはずなのに、先程から何度か僕の名前を呼んでいる。
「ふくたいちょ…。」
また寝言かと思い、あまり大きな反応はせずに顔をチラリと見る。
目が開いていた。
「三浦!やっと起きたか!」
話を聞く為にここにいるが、話せる状態なんか?
「ふくたいちょお……。」
「っ!?どないした?痛むか?」
掠れた声で僕を呼ぶ三浦。
顔を覗き込むと泣いていた。
ただただ、副隊長と何度も僕を呼ぶだけで他は何も言わず、涙を流している。
どうしたらいいかわからず、とりあえず頭を撫でてみた。
そしたら、もっと泣いた。
息が荒くなり上手く呼吸が出来ていないようだ。
医療班の者が落ち着くよう宥めるが、三浦はずっと泣いている。
僕が関係あるんか?どうしたら泣き止む?
このままだと呼吸が出来ないので危ない。