第5章 嫉妬
ずっと抱きしめているので、痛くないんか?と問われてしまった。
痛いのは痛い。痛いのを我慢して宗四郎さんに触れている。
んぅーと甘える声を出しながら顔を胸に擦り寄せる。
「なんや、可愛すぎやろ…。ごめんなあ?君がずっと甘えたそうにしてるの気付いとったんやけど、なんにも手つかんくなりそうやったから我慢させてもうたわ。」
私の頭を撫でながらチュッと音をたてて頭頂部に何度もキスをされる。
甘えたい放題していたが、とあることを思い出してしまった。
お風呂入ってない…。
任務に出ていたから汗かいてるし、怪獣の体液浴びまくったし…。
硬い胸板を押して離れようとするが離してもらえなかった。
「んー離さへんでー。ほんま、可愛すぎて食ってまいたいわ。」
その言葉に顔が熱くなる。
傷口に刺激がないように頭を抱きしめられているが、全然抜け出せない。
頭だけならすぐ抜け出せると思ったのに…。
胸に顔を押し付ける形になっているので、苦しくなってそこから抜け出すように頭を押し上げ、彼の肩の上に顎を乗せると、気付いてしまった。
病室の扉が開いたままになっていて、そこに市川くんと古橋くんがいることに…。
熱くなった顔からだんだんと血の気が引いていく。
「宗四郎さん、やばいです…。」
「ん?どうしたんや?」
そう言いながら頬を擦り寄せてくるので余計焦る。
「あ、あの…市川くんと古橋くんが、見てます…。」
「………は?」
宗四郎さんの動きが止まった。
そのまま顔だけを振り向かせて扉の方を見る。