• テキストサイズ

あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第5章 嫉妬


夜になり、勤務を終えた宗四郎さんがまた来てくれた。
終えたと言っても、あの時の話をする為だし、常に私たちは怪獣出現に備えていなければならない。


彼は椅子に腰かけると、遅くなってすまんと謝った。
忙しいのは重々承知している。

私が大丈夫ですと答えると、すぐに何故命令を無視したのか、怪獣を庇ったのか聞かれた。

なにも答えられなかった。
全て、8号の正体を話さなければいけなくなるから。


「またか……亜白隊長になら言えるんか?」


呆れたように呟きそう言われたので、首を横に振る。
亜白隊長だと余計言えない…。


彼の顔を見ていられなくなり俯いてしまう。


「また誰か庇ってるんか?お前はいつも誰かを庇っとるな。」


私を襲おうとした先輩を庇い、口淫を強要した副隊長を庇った。
全部、宗四郎さんの為だった。


すぐに聞き出せるとは思ってないと言い、彼はこの話題を終わらせた。


「さて、宗四郎くんの時間やで!」


先程とは打って変わって明るく抑揚のある声でそう言うと、両腕を広げて笑顔を見せてくれる。


どうしよう…好きだ、どうしようもなく好きすぎて泣きそうになる。


「なんで泣きそうなってるんや?宗四郎くんが甘やかしたるから泣かんでー?」


なんだろう、このギャップ…。
こういうところ、誰にも見せたくない。私だけが知っていたい。


屈んで覗き込んでくる彼を抱きしめてキスをして、好きだと言いたい。

だけど、抱きしめるだけにしといた。


もし、気持ちを言葉にしてしまったらどうなるんだろう。
この名前のない関係も終わってしまうのだろうか。
ただの上司と部下になるのだろうか。

いや、部下でもなくなるのかな…たぶん除隊なるだろうし…。

/ 591ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp