第5章 嫉妬
それから彼は、小此木さんに呼ばれ行ってしまった。
「お姉ちゃん、あのイケメンと付き合ってるの?」
確かにイケメンだけど、せめて保科さんか副隊長と言って欲しい…。
ううんと首を横に振り否定する。
付き合えたらどんなに幸せだろう。
私たちにそんな関係は許されない。
「お姉ちゃん、辛そうな顔してる…なにかあったの?」
ちゃんと笑えてたはずなんだけどな…さすが我が妹。
いつ死ぬかわからない仕事だから、お互い気持ちを言わないことにしてるのと美陽に軽く説明をしたら、バッッカじゃないの!?って言われた。
「いつ死ぬかわからない?そんなの誰だって同じじゃん。でも好きな人と一緒にいるのが一番幸せだから、みんな結婚するんじゃん?お姉ちゃん、今辛いんでしょ?」
まさか、妹に諭されるとは…。
確かにそうだ。
誰だっていつ死ぬかはわからないし、好きな人と結婚出来たら、すごく幸せだろう。
宗四郎さんとそんな風になれたら……絶対に死にたくない、死なせたくない。
彼がいたら私は何がなんでも生きたい。宗四郎さんもそう思ってくれるだろうか。
「お父さんはもういないけど、私は幸せだったし、お父さんが残してけれたあなたたちがいるから、今も幸せよ。」
母は好きな人を失くしてる、それでも今を幸せだと思えているのなら……。
伝えたい…彼と名前のある関係になりたい…。
2人にありがとうと返すと、そろそろ遅くなっちゃうから帰るという。
もう少し話したかったな…。