第5章 嫉妬
少し話したとこで、ずっと横になっていたからか起きたくなってきてしまった。
起き上がろうと身動ぎをすると、激痛が走る。
鎮痛剤をもらったのだが、さすがに動くと痛い。
母が手を貸してくれたが彼女の力じゃ無理だったので、宗四郎さんが手を貸してくれる。
背中に手を回した彼の首に手を回し抱きつく形になると、彼の匂いが鼻を掠めた。
その香りが私の頭を支配して、もっと彼が欲しいと身体に力を込める。
完全に座る体勢になった頃、彼は離れようとしたが私の腕がそれを許さなかった。
「痛いんか?」
服を握り締めて離さない私に優しく問う。
母と妹も大丈夫?と気にかけれてくれる。
確かに痛みもあるが、もっと彼に触れていたい…。
今はそんなことをしてる時ではないが、風邪を引いた時みたいに心細くなってしまっている。
「すっ、すみません!…いっ!?」
頭の中の欲を振り払って掴んでいた手を離した。
今は母や妹もいるし、彼は今、副隊長だ。
いきなり動いた為、傷口が傷んだ。
そんな私を彼は、少し離れて背中を擦りながら心配してくれた。
「急に動いたらあかんやろ?」
身を屈めて痛みに耐えていたが、少し楽になったので身体を起こすと、ちょっと見てええかと胸元の病衣に手をかけた。
はいと返事をして見やすいように顎を上げると、胸元を少し開けて確認し綺麗に元に戻して、大丈夫やと頭を撫でて微笑んだ。
彼が離れようとしたので咄嗟に後でっ…と言ったら、僕も聞きたいことがあると言う。
きっと、8号を庇ったことと命令違反のことだろう。