第5章 嫉妬
もう少しここにいて欲しいとお願いすると、彼は少し戸惑ったが快く受け入れてくれた。
「あれ…もしかして、昔、美影を助けてくれた方ですか?」
母はここでようやく思い出したらしい。
前に一度テレビで見たことはあるが、副隊長の彼は元々メディアの露出が少ない。
それでも、結構な数のファンはいるみたいだが…。
「僕、美影さんを助けたことはないですよ?」
色々助けてもらったが……。
すると、いきなり妹が大声を出す。
「あー!あの時のイケメン!!」
母と2人で急いで声を抑えるよう軽く叱る。
宗四郎さんは何かを考えるように固まっていた。
沢山の人を助けてきただろうし、その中の1人なんて覚えていないだろうと何も言っていなかったが、言っておけばよかったと後悔する。
なぜなら今、彼を困らせてしまっているからだ。
「5年前に助けてもらったことがあるんですよ、私。」
「え……あぁ、だからあの時も……。そうやったんか、覚えてないわ…。」
ん?あの時?
ボソッと呟いた言葉に疑問を浮かべたが、今は気にしないことにした。
それから、誰からの攻撃の傷かは伏せて私の状態を話す。