第27章 浮気?✿番外編
市川くんにあの子を屋上に呼ぶようお願いした。
私だと言うことは伏せてもらう。もし私だとわかれば宗四郎も来るかもしれない。
すぐに屋上に向かい、オレンジに染まる空を眺める。
「副隊長補佐官でしたか、誰か教えてもらえなかったので不安だったんですよ。」
後ろから声をかけられたので振り向くと、先程まで宗四郎に触れていた彼女がいた。
「楠木、だったっけ?」
本当は名前くらい知っている。彼女は楠木美里。
頷いた彼女にまずは当たり障りのない、訓練には慣れたのかと話しかける。
「宗四郎と仲がいいみたいね。彼の訓練ってきついでしょ?私も去年は死ぬかと思った…。」
「副隊長に近付くなって言いたいんですよね?でも無理ですよ、副隊長なんですから。このまま甘えさせてもらいますね。」
ず、図太い…さすが、彼が好きになる子だ。
宗四郎が好きになる子は気が強い子が多かったと思う。
「やだ…やめて…。」
「え?なんですか?聞こえないのではっきり言ってもらっていいですか?」
仮にも先輩で上官なんだが…なんて態度なんだ。
なんで私が…奥さんである私がこんな惨めに思わなきゃいけないんだろう。
彼に近付かないで欲しい、私の旦那さんを取らないで欲しい。
子供だってそろそろ産まれるのに…。