第26章 妊娠✿番外編
基地について副隊長室に向かう。
目の前まで来てノックをすると返事が聞こえたので、ゆっくり扉を開けた。
やっぱりまだ仕事してるのね…。
本当はもっと遅くに来たかったけど、終電があるし…。
中に入ると開眼して驚いたような顔をして見つめてくる、愛しい旦那さんがいる。
「え、どしたん?こないな時間に…1人で来たん?あかんやん…。」
「ふふっ、会いたくて…今、ちょっといい?」
1人で出歩いたことに少し怒っているようだ。
ええよと言いながら立ち上がって近付いてきて頬に口付ける。
「あのね…伝えたいことがあって、我慢出来なくて来ちゃった…。」
「え、なに?怖いんやけど…。」
頬を撫でながら見つめてくる。
鞄の中からケースを取り出し、表紙にキャラクターが描かれた手帳を彼の目の前に翳した。
「え、ほんまに…?それ、母子手帳やんな?え…ほんま……ありがとう!」
ギュッと抱きしめられてちょっと苦しい…。
「え、どうしよう…離れたない…でも家でゆっくりした方がええよな?いやでも、もう遅いし…。」
「ふふっ、落ち着いて?座って待ってるね。」
うん、うんと何度も頷くが離れる気はないようだ。
お風呂に入ってきたしご飯も食べたし、帰らなくてもいいようにしてきた。
実はお弁当も作ってきた。
ご飯を食べたのか聞くとまだ食べていないようで安心する。
「ちょっと休憩しない?まだ無理かな?」
「する!良恵とイチャイチャしたい。」
いや、イチャイチャはしないんだけども…。
鞄の中から弁当箱を取り出して差し出す。
何か気付いた彼はまたありがとうと笑った。