第24章 保科の休日✿番外編
宗四郎さんはええ買い物せぇよと私の腰を引き寄せながら、2人に背を向けて手を振り離れていく。
腰にあった手が下に移動しお尻を撫でた。
「ばっ!?なにするんですか!?」
「ふふっ、ええやん。」
よくない、そーっと後ろに目線を向けると2人が口を開けたままこちらを見ている。
お尻を撫でていた手が肩に移動しグッと引き寄せられたので、2人を見るのは叶わなくなった。
…って!あのテラス席に座ってるヘルメットを被ったままの2人は、市川くんと古橋くんじゃない?
あの2人にも見られた…と恥ずかしくなって顔を覆うと宗四郎さんは肩から手を離し、襟を直した。
そういえば、宗四郎さんはいつもファスナーを上まで上げないのに、なんで今日はきっちり閉めてるんだろう。
そのまま彼の後をついていくと、巡回中の警察官に敬礼をしたり、外国人が道に迷っていて教えてあげたりと…なんというか、かっこいいしかなかった。
道端にいる猫を見付けると撫で始める。
その様子を緩みきった顔で見ていると、見覚えのある人物が私たちの横を通り過ぎていった。
だがちゃんと顔が見えたわけではないので特に気にせず、宗四郎さんと猫という組み合わせを堪能していた。
また歩き出すと横断歩道を渡るおばあさんに駆け寄り、手を上げながら一緒に渡り切る。
すると、そのおばあさんにお茶をご馳走様になっていた。
うん、なんというか…これは全然休めていないんじゃないか?
普段の休日もこんな感じなんだろうか…。
優しい彼なのだからこんな光景を見ても特に驚きはしなかったが、疲れは取れていないんじゃないかな。
お2人は恋人?というおばあさんの質問に、そんなもんですと答えた彼にこっそり悶えた。
まあ説明する必要もないし、そう答えるのが無難なんだろう。
その後はまた車に乗りどこかへと車を走らす。