第21章 群発災害
その時、いきなり9号の配信が始まった。
9号は、この戦いはボクの勝ちだと言っている。
あの力を奪えば終わりだと。
あの力?
立川地区に怪獣9号発生という言葉が響き渡る。
っ!亜白隊長!!
宗四郎と共にすぐに駆け出した。
四ノ宮長官の時も9号が突然長官の元へ移動し、飲み込まれた。
亜白隊長が危ない…。
空中に数え切れない程の未確認の怪獣が現れた。
フォルティチュード8.0…この全てがクラス大怪獣だと言うのか…?
この数の大怪獣を処理する力が私たち防衛隊に残っているの?
でも、やらなきゃ日本は終わるだろう。
みんなを守らなきゃ…。
怪獣たちが一斉に攻撃をしてきた。
たくさんの仲間たちが倒れていく。
9号が広域電波ジャックをしているようだ。
亜白隊長を吸収して6号クラスの大型怪獣集団を作るだと…?
「亜白隊長っ…!行かなきゃ、隊長のところへ…でも、みんなが…市民が……どうしたら…。」
怪獣たちはシェルターを狙っている。
私たちが守るべきものたちを…。
「美影、落ち着き。まずはこいつらをやるで!」
背中をトンと優しく叩いて諭してくれる彼がいる。
宗四郎の笑顔を見て、やるべきことがはっきりわかる。
彼の目を見て頷き同時に地面を蹴った。
空中で背中合わせになりながらお互いの死角をなくす。
幾多もの怪獣を斬り伏せる。
みんなを守る為に…私たちの未来を守る為に。
「美影!先に行け!後は僕がやる!」
「でも…。」
「でもやない!三浦副隊長補佐官、お前に亜白隊長の支援を命ずる!僕が行くまで隊長の道を切り開け!」
「っ…了っ!!」
保科副隊長の命令だ、背いたら罰せられるっ!
すぐに立川へ向かう為、地面を蹴った。
「美影!!……愛してるで。」
「っ!私も!私も宗四郎を愛してる!」
呼ばれて振り向くと、今まで一番優しいんじゃないかってくらいの笑顔をした宗四郎がいた。
死ぬつもりはない、けど…わからない。
すごく離れがたい…それでも、私は行かなければならない。
彼の笑顔を目に焼き付けて前を向いた。