第21章 群発災害
視線を感じて男の子を見ると目が合い、ずっと見られていたのかと思う。
私、この目知ってる…。
あの日、私が彼に向けた目だ。
最近は彼も私をこんな風に見つめてくれる。
そうか、この子はあの時の私みたいなんだ。
「私の顔、なんかついてる?」
あの日の彼と同じ言葉をかけた。
ついてると言えばついてるけど…耳にガーゼがついている。
「いや、なにも…。」
あの日を懐かしく思い笑ってしまった。
ごめんね、私には大切な人がいるから…。
シェルターにつくとこの子の家族と思われる人たちが駆けつけてきた。
そのまま、怪我をしているので…と男の子を預けて戻ろうとしたら、声をかけられた。
また会えるかと…なんて答えたらいいんだろう…本当にもし、私に好意を抱いてくれているのなら、期待をさせるようなことは言えない。
それでも…。
「生きてたらきっと会える。」
笑顔で答えて、私を待ってくれているであろう、彼の元へ向かう。