第21章 群発災害
痛むか?と聞いてくる彼に大丈夫と答えて、足を止めて辺りを見渡す。
微かに声が聞こえた気がしたのだ。
どうしたのかと聞いてくる彼の口を抑えて、耳をすました。
そんな私の行動に何かを察したのか、口を閉じて動くことはしなくなったので、口から手を離した。
っ!
確かに今、助けてと聞こえた。
勘違いなんかじゃない。
彼は何も聞こえないのだろう、ただ私を見つめている。
「人がいる。助けを求めてる。」
「どっから聞こえる?」
こっちと言って聞こえた方向へ向かった。
誰かいますか?と声をかけながら辺りを見渡し耳をすます。
瓦礫の下?
別れて探していた宗四郎に声をかけて、瓦礫を退かしていく。
手が見えたので急いで瓦礫を退かした。
「大丈夫ですか!?防衛隊です!」
ここの近くの制服だろう、中学生くらいの男の子が倒れていて、足を怪我しているようだ。
すぐに抱えて瓦礫の中から出す。
「もう大丈夫ですよ。シェルターに行きましょう!」
相当痛いのか涙を浮かべる男の子に笑顔を向けた。
「宗四郎、私、この子をシェルターに連れていくね!」
「僕が行こか?」
大丈夫と答えてそのまま駆け出した。