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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第4章 夜明けの相模原掃討作戦


なるべく2人の邪魔にならないように距離を取って見ていると、先輩の足等が斬り落とされていく。

いくら、すぐ元に戻るとはいえ、それを見てるのは辛かった。


もう見ていられなくて、副隊長を止めたくなった。
でも止めてしまえば、私はどうなるのだろうか…。

頭ではそんなことを考えていたが、身体は動き出していた。


先輩の前に出て庇ってしまった。


「ちょっ、おまっ…!?」


2本の見えない刃が私の胸を斬り裂いた。

先輩のことを庇わなくても大丈夫なことをわかっていたのに、身体が勝手に動いてしまった。
これを以上、大切な人が大切な人を傷付けるのを見ていたくなかった。


後ろに倒れる私を先輩が支えてくれる。

驚きを見せていた副隊長の顔が怒りと焦りに変わっていく。


「せ…。離せやっ!!僕のもんに触んな!!」


怒りに任せて叫ぶと私の身体を先輩から奪い取り、先程確認した核の位置に刀を振り下ろした。

いや、ダメ…。
怖くて目を固く瞑った。


カチカチという音が聞こえて目を開けて見ると、先輩は核の部分を歯のようにして、副隊長の刀を捕らえていた。

よかった…。


そして先輩は拳に力を込め振りかざす。
え、まじすか、それは…。


来ると思っていた衝撃は吹き飛ばされる程の風圧のみだった。

先輩は副隊長の刀だけを殴り、その風圧で私たち2人を吹き飛ばしたのだ。
もちろん、副隊長が後ろに飛んだのもあるが。


副隊長は私を抱えたまま殴られた刀を持っていた方の手を振り、痛みと痺れを逃がす。

先輩の姿はもうなかった。

手を顔に翳し、悔しさを滲ませた。


「うわぁ、逃がした。」


よかった…どちらも無事だった。

耳に手をあてると、通信機を使って報告をする。


「報告。怪獣8号、逃亡。」


その声に申し訳なさが込み上げてくる。
どっちも傷付いて欲しくなかったのに、その悔しさを滲ませた声を聞いて、邪魔をしなければよかったと思ってしまった。


「ごめっ、ごめんなさいっ!ごめんなさいっ…!」


「今はええから、喋るな。」


顔を歪ませた副隊長を見たのを最後に私の意識は遠のいた。

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