第2章 防衛隊選別試験
あれから3ヶ月経ち、会社に3通の封筒が届いていた。
防衛隊選別試験の1次書類審査の合否だろう。
私、日比野先輩、市川くんのだ。
ちょうど市川くんも来たので一緒に封筒の中身を見る。
「ご、合格…。」
少し俯き泣きそうになりがら笑う。
どうやら市川くんも合格したようだ。
日比野先輩は早番で現場入りしてるらしく、市川くんと2人で届けに行くことにした。
市川くんが先輩の合否を確認すると、その文字を見て2人で顔を見合せて先輩の元に駆けていく。
怪獣の死体の上に座る先輩の姿を見つけて市川くんが声をかける。
先輩が振り向いた。
「っ!?えっ、はっ、なっ……はぁあああっ!?」
怪獣8号!?
さっきテレビでもやっていた、未討伐の大怪獣がそこにいた。
市川くんが間髪入れずに飛び蹴りをして怒っている。
どういうこと…?
そんなことしたら危なくない?
とりあえず通報?
混乱してどうしたらいいかわからなくなっていた。
怪獣8号が腕で顔を擦ると、先輩の顔になった。口は8号のままだけど…。
「先輩…市川くん…?」
未だに怒鳴ってる市川くんと怒鳴られている先輩を見て理解が出来ず、2人に問いかける。
「「あ。」」
あ、じゃねぇよ。どういうことだよ。
わけがわからず、通報しようとスマホを出すと、市川くんに全力で止められた。
「先輩です!日比野先輩!なので通報しないでください!そして誰にも言わないでください!」
「三浦すまん、頼む。」
ジト目で2人を見て説明を求める。
どうやら3ヶ月前、入院中に先輩が怪獣を食べた?らしい。そしたらこうなったと…。
いや、どういうことだよ。
「怪獣を食べたら、怪獣に変身出来るようになったと?」
2人してコクコク頷く。
そんなことあるんか。
理解は出来なかったがとりあえずわかった。
変身しても中身は先輩のままらしいが、防衛隊員になるのは厳しいんじゃないか?
「どうするんですか、防衛隊員。」
「なんとかする。」
「いや、なんとかって…バレたら終わりですよ。」
怪獣に変身しなければいいとか言ってるが、本当に大丈夫なのか?