第2章 防衛隊選別試験
次の日も同じように起きてご飯を食べて出社する。
同じように作業を始める。
少し違うのは、バイトで入ってきた市川レノくんがいることくらいかな。
彼はどうやら、防衛隊員になりたいらしい。
かく言う私もだが。
作業が終わり帰ろうとすると、日比野先輩と市川くんが残っていることに気付いた。
他の人はすでに社用車に乗って会社に帰っている。
「日比野先輩、市川くん、そろそろ……。」
帰りましょうと言おうとした時、視界がなにかによって塞がれた。
なんだろうと思いよく見てみると怪獣だった。お尻?
ということは、頭はあっち…私と距離が近かったのは……
「市川くんっ!!」
怪獣の前の方で何かが横切ったように見えた。
「三浦大丈夫か!!」
日比野先輩の声がする。
「大丈夫です!お2人は!」
大丈夫だと声が聞こえて、その後なにか言い争ってるように聞こえる。
こんな時になにを…。
「三浦先輩行きますよ!」
いきなり市川くんが走ってきてそのまま私の手を引いて怪獣から遠ざかっていく。
「今先輩が気を引いてくれてます!安全なとこに行って助けを呼びましょう!!」
日比野先輩が…?
ある程度怪獣から離れて市川くんが助けを呼ぶ。そしてそのまま、先輩を助けに行くと言って走り出した。
私は何も出来なかった。防衛隊員を目指してるのに何も…。
その後すぐに防衛隊が来て怪獣を討伐し、日比野先輩と市川くんは病院に搬送された。
あんなことがあったのに私はいつも通りロードワークや筋トレ等をして布団に潜る。
「保科さんっ…。」
笑顔で助けてくれた彼の姿を思い出し、何も出来なかったことが悔しくて涙が止まらなかった。
こんなんで防衛隊員になれるのかと…。