第21章 群発災害
副隊長、と声をかけても全然反応してくれない。
外の怪獣行きますよと話しかけても10号と言い合っている。
「もうっ!宗四郎!10号!終わり!!もう行くよ!」
私を見た宗四郎はすまんと謝り、行こうと私の隣に立った。
上官と部下の立場で話しかけてもダメなのか?
いやでも、彼が私を下の名前で呼ぶのはいいが、私が上官の下の名前を呼び捨てするのはダメだろう。
「美影、宗四郎呼んでええで……呼んでや。君にはそう呼ばれ慣れとるから。」
その方が力湧く気がすんねんと言って笑う。
「余計死ねへん…思うねんな!この子がいるから、僕は生きたいって…。」
「私も…私もそう思うよ、宗四郎。」
繋がれた手は離れることなく駆け出す。
この人の為に私は生きたい。
もちろん、この国を守る為に戦う。
だけど、この人の隣で戦い続けたいとも思うんだ。
隣で戦う為に努力してきた。
少し頭がふわふわする。
朝は大丈夫だったのに、栄養ドリンクも飲んできた。
だが、また熱が上がってきたようだ。
いや、耳の痛みのせいだろう、そう思うことにした。
名前を呼ばれて腕をグイッと引かれると、移動は僕に任せろと抱え上げられた。
「だ、ダメだよ!少しでも他に体力使っちゃダメ!宗四郎の力はまだまだ必要なんだから…。」
「やからやろ?君がずっと僕の隣にいーひんと、その力も出ぇへんちゅーことや。」
熱は僕のせいやし…と、落とさないようにギュッと抱えてくれる腕があの日のことを思い出させてくれる。
あなたに憧れや恋心を抱いたと同時に、怖くて震えた心を優しく包み込んでくれたこの腕…。
この腕のように誰かを守れる力を手に入れた。
今度は、私があなたを守る。