第20章 結婚
演習場を出ていく彼に手を引かれながらついていくと、後ろから先輩がついてきた。
「カフカ!お前は美影と距離が近すぎる!……お前だけは許さへん。」
いつの間にか私の手から抜けていった手は、先輩の腕を足で挟み絞めている。
僕の奥さん泣かせた責任取ってもらわなと言ってギュウギュウと絞め続ける。
「いったたたた!!なんのことですか!?泣かせたのは副隊長でしょう!?」
「ちゃう!お前が拘束されてた時のことや!めっちゃ泣いてたんやで!?」
えぇ…それはしょうがないじゃん…先輩は悪くないし。
みんなを救ってくれたんだからいいじゃん…。
2人の前にしゃがみ、宗四郎の腕を少し強めに掴んで、離してあげてとニコッと微笑む。
瞳を露わにして驚いた彼は、すぐに目を閉じしゅんとして、先輩の腕を解放した。
立ち上がった彼が私の名前を呼んだので、顔を見ながら首を傾げる。
「さっきおっぱい擦ったやん?濡れてへん?君、僕になんかされると、すーぐ溢れさすやん。」
「なっ!バカ!」
先輩がいるのに何食わぬ顔で言う彼の胸を叩いた。
心配しただけやのに痛いやんと言う彼を無視して、手を引いて演習場を出る。
さっきから鼻歌までしていて、何故そんなに機嫌がいいのか気になった。
聞いてみると、私が来たことが嬉しいらしい。
それだけで…?
「奥さんが迎えきてくれたん、嬉しいやん。それに、今日はちょっとええとこ食いに行くで!ほんまはもっとええとこ行きたかったけど、予約しとらん。」
しゅんとなってしまった。
ありがとう!嬉しい!と言うとまた笑顔になったので、そのまま第二台場を後にした。