第20章 結婚
何かを言っているので手を離してやると、痛いわ!苦しいわ!と怒られた。
どうやら、鼻を潰してしまっていたらしい。
素直に謝って鼻を擦ると、後頭部を押さえられて顔が近付いてくる。
こんなとこで何をするつもりなんだ。
胸を押すが全然離れてくれない。
「君のおっぱい最高。」
「っ!?…ばっ……っ。」
耳元で囁かれたのですぐに離れて怒ろうとしたが、あまりにも幸せそうに笑っていたので、怒ろうにも怒れなくなってしまった。
左手を取られて、ここに来る前にはめた指輪にキスをされる。
「明日、買い物行く時、お揃いの見に行こな。」
だいたいは良さそうなの見繕ったけど…と続けた彼に驚いたが、ありがとうと微笑んだ。
その時、先輩にそろそろ離れてくださーいとそーっと声をかけられたので、慌てて宗四郎から離れる。
起き上がった彼は突然先輩の名前を呼んだ。
「僕のおっぱいやねんぞ!見とったやろ!?」
「ひぃっ!お、男ですから、そりゃあ…。」
急に何を言い出すのかと思ったら、先輩まで…見てたんですか…。
咄嗟に腕で胸を隠してしまう。
マットを持ち上げた宗四郎は先輩にそれを持たせ拳を突き出したので、先輩は飛んでいった。
そして、いつの間に手にしたのか、先輩に持ってもらっていたジャージを肩にかけられ、それに腕を通すとファスナーを上げられる。
「他にも見とった奴、正直に手ぇ挙げたらなんもせん。」
周りを見渡して彼がそう言うと、そろりとほとんどの男性隊員が手を挙げた。
どうして!?
みんなこんな格好して訓練してるじゃん!
女性隊員もこんな格好したりしてるじゃん!
君、人気ある言うたやろと呆れた顔の彼が呟く。
「今、手ぇ挙げた奴、全員ここに並べ。」
え?まさか…先輩と同じようにするつもりか!?
「なっ、並ばなくていいです!!訓練続けてください!お騒がせしました!」
宗四郎にいらんこと言うなみたいな顔で見られたので、手を握って帰ろ?と見つめたら、そやなと言って指を絡めてきた。
「美影は僕の奥さんやからな!!」
大声で言って、他の隊員を牽制しているようだ。