第20章 結婚
「ひゃっ!?」
驚いてつい声が出てしまった。
後ろから抱きつかれたから。
もう追いついてきたの?
ギュウと電車の中で抱きしめられて恥ずかしい。
「ほんまにごめん。君を副隊長室に呼ぶようになってからは、誰ともしてへんから……泣かせてごめん。」
「え?泣いてないよ?」
顔だけを振り向かせて彼の顔を見上げれば、驚いた顔していた。
泣かせた思たやんと安心したように笑って頬を擦り付けてくる。
は、恥ずかしいです…。
今回は前みたいに彼から何かしたわけではないし、確かにムカついたけど…泣く程ではない。
あのままあそこにいたら、怒鳴り散らかしそうだったから逃げただけだ。
あんなとこで怒鳴り散らかすなんて出来るわけない。
周りに見られてさすがに恥ずかしくなり、腕を掴んで離してもらう。
座れるところがあったので、そのまま腕を引っ張って行き座る。
「あ…えっと……今回みたいなこと、またあるかもしれへん…でももう、君だけやから…安心して欲しい…。」
「一体、どれだけの人としたんだか…。」
ごめんてぇと謝ってくる彼に笑ってしまった。
別に責めているつもりではなかったんだけど…普通に疑問に思っただけだ。
何人?と聞いたらわからへんと呟かれて、また笑ってしまう。
よくそれで性病ならなかったな…。
私が第1にいた時のやつが初めてだと言っていた。
「生でやったんは君が初めてやから!」
こんなとこでそんなことを大声で言うないでよ。
彼も気付いたようで、ごめんと俯いた。
「初めて同士だったんだね。」
コソコソと彼の耳に手をあてて囁く。
一度肩を震わせた彼は、そやと顔を上げて笑っている。
それだけで機嫌がよくなって顔が緩くなってしまう。
旦那さんと呟き肩に寄り添う。
「なんや、僕の可愛い奥さん。」
私の頭に頬を擦り寄せた。
電車の中でなにやってんだろ…。
そう思うのに離れられなかった。
へへっと笑えば、ははっと笑う。
そんなことをしていると有明についていた。