第20章 結婚
ソファに戻ると妹が顔がいいからと許されると思うなと未だに彼を蔑む。
母は許しているのだ、さすがに妹にも許してもらいたい。
妹になんでそんな怒ってるのか言わないとわからないよと諭す。
過去に浮気されたことがある、なんて私から言っていいのかわからずに妹に託した。
黙る妹に彼は何か察したのか、優しい声色で話し始める。
「僕な、美陽ちゃんの言う通り浮気したし、過去に最低なことしてきたねん。それを美影は全部知ってて、僕のこと好きだって、結婚したいって言うてくれてるんや。そないな子、離せるわけないやん?」
ほんまに愛しとるからもう絶対裏切らへん、だから許してくれと頭を下げた。
浮気と言っても最後までしたわけではないし、気持ちがあったわけでもない。
それでも嫌だったわけだが…。
それに過去に最低なことと言っても、仕事柄彼女を作りにくい為、同じ目的の人やそういうお店で熱を発散させていただけ。
付き合ってたけど…。
妹が最低なことって…と聞く。
「彼女作らずに遊んどった言えばわかるやろか…。」
「まじで最低…。」
大人だし、男の人だし、そういうこともあるんだろうなとは思う。
そのことはあまり気にしていないけど、一つめちゃくちゃ気になることはある。
あの人とどのくらい付き合っていたのかとか、どのくらい好きだったのかとか、私にするように甘えていたのかとか、あんな風に激しく求めて抱いていたのかとか…まあいろいろと。
でも、聞いてはいけないと思ってるし、聞いたら私がどう思うかなんてわかりきってるから。
「そやね、最低よな。でも…今は美影しか見とらんし、ほんまに好きやねん。僕は美影がいないと生きていかれへんのや。やから、結婚したい。」
共依存に近いものだろう。
私だって、彼がいないと生きていけない。
そんなのはダメだとわかっているけれど、好きすぎてどうしようもない。