第20章 結婚
その時、ただいまと妹の声がした。
妹が帰ってくる前に帰ろうと思っていたのが、私が寝ていたので遅くなってしまった。
リビングに入ってきた妹は彼の姿を確認すると、心底嫌そうな顔をする。
軽蔑した目を彼に向け睨んだ。
「お姉ちゃんと結婚なんて絶対許さない。この、浮気野郎。」
妹に話したのは間違いだったかも…。
「美陽!私はもう許したの!そういうこと言うのやめて!」
許すなんてありえないと未だに彼を睨む妹を連れ出し廊下に出て、失礼なことはやめてと叱る。
もう彼は反省したから酷いことを言わないでと落ち着いて言えば、そんなすぐ反省するわけない、また繰り返すと声を荒らげる。
妹は去年、彼に浮気されているのでそういう男を相当嫌っているのだ。
「美陽ちゃん、ほんまは明日、婚姻届出そう思っとったけど、保留にしよか?」
突然後ろから声が聞こえて振り向くと、宗四郎が困ったように眉を下げて妹に話しかけている。
「睨むな!」
宗四郎を睨む妹につい声を荒らげてしまった。
彼はええからと言って私の前に腕を出して制して、少し話そうかと、私と妹を連れてリビングに戻った。
妹に怒鳴ってごめんと言って手を引く。