第20章 結婚
少し経つと、部屋の外から声が聞こえてくる。
宗四郎と鳴海隊長だ。
「待てと言っているだろう!?勝手に入ってきて、ボク様の言うことも聞かずに…。」
「美影になにしたんですか!?泣いてましたよ!?」
宗四郎…宗四郎!
私の好きな人…。
怒られるかな、別れるって言われるかな。
怖くて涙が出てくる。
早く、彼の腕の中で安心したいのに…。
ガチャガチャとドアノブを回す音がするが、鍵がかかっているようだ。
私がこんな格好でいるのだ、鳴海隊長がかけたのだろう。
宗四郎が鳴海隊長に早く開けろと言うが、鳴海隊長は渋っているようだ。
当たり前だ、何をしていたかすぐバレる。
扉に駆け寄りすぐに鍵を開けて彼に飛びついた。
「宗四郎っ!!宗四郎、宗四郎…ごめんなさい…。」
グリグリと彼の首に顔を擦りつけて、抱きしめた腕に力を入れる。
「ちょ…なっ!?」
すぐに隊長室の中に入って扉を閉めた。
宗四郎も混乱していて、え、は、としか発していない。
せっかく閉めた扉を鳴海隊長が開けて、入ってきてまた閉めた。
どういうことですかと地を這うような低い彼の声に、私は肩を震わせて焦る。
「お前が浮気したと聞いたから、慰めてやった。」
慰めたって…全然違うじゃないか。
私は何度も嫌だって言ったのに。
「いくらあなたでも、していいこととそうじゃないことがあるでしょう!?ほんまに…殴らせてください。いや、殺してええですか?」
自分は浮気するのに相手はしてはダメなのかと鳴海隊長が問いかけている。
君から誘ったのかと聞かれたので首を横に振った。
「そうだ、ボクが無理やりした。だから、美影を責めるなよ。あぁ…ちなみに、挿れてはいない。」
殴るだけにするから殴らせろと言う。
すぐに殴らなかったのはよかったが、さすがに殴ったらダメだろう。
彼が鳴海隊長に危害を加えないようにギュッと抱きしめ続ける。
鳴海隊長は服を持ってくると言っていなくなった。
なんで服を持っていったのだ…。