第19章 偽り
「お姉ちゃん、さっきから電話?鳴ってるけど…。」
先程からずっとスマホが震えているのだ。
恐らく電話だろう。
どうせ彼だろうと思い、画面は見ていない。
母にちゃんと話し合ってきたの?と聞かれたが、怒鳴って飛び出てきただけに思える。
あまりちゃんと覚えていない…。
とりあえず電話に出てみろと言われたのでスマホを持ち、何か理不尽なことを言われたら私たちが言い返してあげるからスピーカーにしろと言われる。
恐る恐る通話ボタンを押した。
「美影!?ほんまにごめん!!言う必要ない思ってたんや。だからって、初めてやって嘘つく必要なかったよな、ほんまごめん。もうちょい、冷静に話し合ってくれへん?君のこと、諦めきれへんのや…。」
息が切れている。
探してくれているのだろうか?
あ、妹が怒鳴り出してしまった。
「バッカじゃないの!?諦めきれない!?自分が悪いんだろうが!お姉ちゃんはあんたみたいな奴にはもったいない!!」
ちょ、言い方…。
電話の向こうで困惑しているのがわかる。
実家いるん?と聞いてきたが、妹が来るんじゃねぇよと叫ぶ。
もうちょっと、言葉遣いどうにかしよ?
もしまた話し合ったら、きっと私は許してしまうだろう。
だって、こんなにも大好きなんだから…。
美陽に謝り私が聞いているのか問う。
奪い取られていたスマホを返してもらい、震える声で彼に話しかける。
「反省してない…したいだけなら、あなたの相手をする人なんて、いくらでもいるでしょ……それにちゃんと言って欲しかった、嘘つかないで言って欲しかった…。」
また泣かせてもうたと呟く彼は、何度も謝ってくる。
「君としかしたない。あないなことして、信じてもらへんと思うけど……ちゃんと言えばよかった、嘘ついてごめん…今は君だけやから…。」
どうしよ、会いたい…会ってちゃんと聞きたい。
でも会ったら簡単に許してしまって、同じことを繰り返すかもしれない。
どうしたらいいかわからない。