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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第18章 須臾


なんか…面倒臭い。

そう言いたいのは私なのに、何故あなたがそんなことを言うの?


「頭が痛いから薬飲んでただけです。離してください。というか…押し付けないでください。」


イラッとして少しきつく返してしまった。


「怒らんでや…押し付けてんはほんまごめん、無意識やった。」


私の頭を優しく撫でてもう少し寝ようと手を引く。

私をベッドに寝かせると顔を近付けてくるので、何をするのだと睨むように見上げた。


「口にはせぇへんから許してや……目ぇ腫れてもうてる。やっぱあれだけやとあかんかったか…。」


睨んでも唇が目に迫ってくるので反射的に目を瞑ると、瞼にキスをされる。

微笑むとちょっと待っててなとどこかに行ってしまった。


離れたくないって言ってたくせにどこに行くの…。

私も相当面倒臭いなと思った。


そういえば、あれだけ…って、何かしてくれたんだろうか。


すぐに戻ってきた彼は、濡れたタオルを2枚と化粧水や保湿クリームを手にしていた。


「痛ない?めっちゃ赤なってもうてる。」


目の下を親指で優しく触れて撫でる。

確かに目の周りがヒリヒリして痛い。


温かいタオルと冷たいタオルを交互につけて、どのくらいかそれを繰り返すと、化粧水を手にした。


「僕のやけど、ええ?」


特にそこまでの拘りはないのでコクっと頷くと、化粧水をつけて保湿クリームを塗っていく。


今すぐ抱きついてキスをしたい。

でも、自分でしないと言ったのだ、出来るわけがない。


どんなに彼が他の人と身体を重ねようと、気持ちだけは私にあると自惚れている。

その自惚れが私を甘くする。

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