第4章 夜明けの相模原掃討作戦
扉の横からひょこっと顔を出すと、日比野先輩を驚かせてしまった。
お疲れ様ですと先輩に声をかけた。
「美影、お前もなんか言ってやれ。副隊長の座、僕から奪う取るらしいぞ。」
え、あ…名前…。
「では先輩!私は宗四郎さんの隣で戦うので、頑張って私のことも追い抜いてくださいね!」
「美影…そ、宗四郎さん…?」
先輩はぽかんと間抜けな顔で呟いた。
名前で呼んでええなんて言ってへんぞとまた少し彼がキレた。
「亜白隊長の隣は譲らへんぞ。」
入口近くまで戻ってくると、顔だけ振り向かさせてそう日比野先輩に言う。
ちょっとだけ妬いてしまったのは内緒ということで…。
敬礼して感謝を述べようとした先輩を遮り、いつ誰に何が起きてもおかしくない仕事だから、隊員同士仲良くなるのは程々にしろと言った。
そう、だから私たちは……。
私の表情が曇ったのに気付いた彼はポケットに突っ込んでいた手を出し、私の頭をポンポンとして軽く撫でた。
その時、警報が鳴り響いた。
宗四郎さんは私の頭を撫でたまま先輩に振り返る。
「行くで、初任務や。」
副隊長がいつもよりも低めの声で言うと、緊張感が増す。
うっ……ダメだ、堪えろ…ひぃむりぃいいかっこいいぃいいいい!!
ただのオタクと化している中身とは裏腹に、顔は引き締まっていた。