第18章 須臾
ほんまにごめんと抱きしめてきて、無理やり引き剥がそうにも、力が強すぎて全然剥がせない。
「いやっ!離して!うっ…きらいっ!!宗四郎なんかっ、もうきらい!!」
初めて彼に嫌いと言葉にした。
謝るくらいならなんでしたの、どうしてあの人を求めたの。
痛い…胸が苦しい…大好きなのに、信じてたのに…なんで…なんで…。
ダメ、見切りをつけなきゃ。
「副隊長っ!!離してください!っ…もう終わりです!この後、あの人とするんでしょう!?だったらもう、いいじゃないですか!うくっ…私なんてどうでもいいじゃないですか!うっ…。」
嗚咽混じりに泣き叫ぶと他の隊員が来て、彼を私から引き剥がしてくれる。
私の肩に手をかけて、大丈夫か?と日比野先輩が優しく問いかけてくれた。
その先輩の胸に身体を預けた。
「カフカ!!触んなや!美影は僕のや!…なぁ、なんでなん!?僕の話聞いてや!裏切りたかったわけやない!」
他の隊員に押さえられていてもなお、私の方に来ようとする。
日比野先輩が心配そうに私の名前を呼んだ。
首を横に振って答える。
もう彼とは話す気がないと。