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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第18章 須臾


早く指輪を返してしまいたい、こんなもの持っていたくない。


もう一度屋上に戻り、亜白隊長に午後は訓練を休むことの許可をもらった。


第3に私の荷物が届いたという知らせがあったので、すぐに向かう。


立川基地についてすぐに副隊長室に向かうと私の荷物が置かれていた。

その中から指輪と一緒に渡されたリングケースを取り出し、部屋に行き指輪を水洗いして拭きケースにしまう。


「ばか…なにが、Promise of Eternal Loveよ…。」


指輪の内側に刻まれた文字を睨んだ。


他にそういうことを言いたい人がいたんじゃない…。


あまり遅くならないうちに戻らなきゃ…。

あの2人は夜の約束をしていた。

その前に終わらせたい。


頬を伝った雫を拭い着替え等を持って、立川基地を出てATMに向かう。

手術費用よりも少し多めに下ろして封筒に入れた。


婚約破棄をする時どうするのかわからない。
でも早く終わらせたいので、指輪と手術費用を返して終わらせようと思う。


私はこんなに好きなのに…結局あなたは私を見てくれてなんていなかったんだね。


そうだ、お父さんの結婚指輪も返してもらわなきゃ。


こんな風に考えることも、終わらせる為に動くことも、する必要はないと思っていた。

あなたを信じていたから…。


街中を歩いていると涙がまた出てきて、急いで駅に向かいトイレに駆け込む。


「好きだよぉ…。」


あんな場面を見たのに彼のことを嫌いになれなくて、ずっと好きなままで…どうしようもなく胸を締めつけられる。

5年前のあの時から募らせた想いは、そう簡単にはなくなってはくれない。


どんなに好きだとしても、彼の隣で笑う自分を想像出来なくなった。

終わり、なんだね…。

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