第18章 須臾
「美影!ちゃんと避けろ!それじゃあ、そのスーツで任務に出させられないぞ!?」
そんなことを言われても、現代最強の男の攻撃を避けるのはそんなに簡単ではない。
宗四郎にこれでもかと愛された翌朝、有明りんかい基地でナンバーズを装備し、キコルちゃんと共に鳴海隊長の訓練を受けることを言い渡された。
宗四郎は今頃、第二台場の共同演習場で日比野先輩と戯れている頃だろう。
いや、訓練をしている頃だろう。
鳴海隊長の訓練を受けたとしても私場合、宗四郎の方がいいのだ。
同じナンバーズで戦闘スタイルも一緒なので、彼と手合わせをすることで、お互いの動きを知ることが出来る。
10号スーツは一緒に戦った方が強いとまで言われている。
なので、鳴海隊長の訓練を受けるのは今日と明日の午前のみ。
正直、宗四郎よりもきつい…。
宗四郎は10号と仲が悪いから戦力をあまり解放出来ていない。
というより、10号しか喋るスーツがないから、上手く精神同調が出来ないからだ。
銃剣を振りかざす鳴海隊長を捉え、刀でいなしながら攻撃を繰り出す。
「やっと躱したか!君、それであのオカッパの攻撃を躱せているのか?」
ほとんどあたってますけども…。
鳴海隊長は私の攻撃を躱しながら銃を撃ってきて、さすがにそれは驚いた。
死ぬかと思った…空砲だ。
驚いていると剣が振られてすぐに身体を後ろに引いたが、頬に掠ってそこが熱を持ち始める。
マスクつけとけばよかった…。
「躱せと言っただろう。」
恐らく傷が出来ているであろうそこを親指でグイッと拭われて、痛みに顔を歪めた。
でもすぐにその手を引っ込めてすまないと俯く。
「あ、あの…別に変なことをしないのであれば、そんなに気にしなくても大丈夫です…。」
確かに宗四郎がいるので他の男の人に触れられるのは避けたいが、そこまで過剰な反応をされると少し心が痛む。
私の許可なしに触れたりはしないと言っていたが、別にそこまでしてもらわなくて大丈夫だ。
だってもう、鳴海隊長はそんなことをする気がないとわかっているから。