第16章 10号
さすがにしっぽはついておらず、胸のところも黒く線は引かれているが、目のように光ってはいない。
「三浦隊員、聞こえますか?」
「小此木さん?はい!」
通信機から小此木さんの声が聞こえ、すぐに応答する。
どうやら武器はケースの中にあるらしい。
専用武器が入っているケースと同じような大きさだ。
当たり前か、恐らく同じように作られているだろう。
ケースを開き、これまた真っ赤な武器を手にする。
刀身の波紋のところが黒く線が引かれている。
2振りを腰に装備し、強化装甲演習室に向かった。
「三浦隊員、スーツも武器もプロトタイプです。ですが、今の段階では恐らく、副隊長より力を引き出せるでしょう。副隊長は神経同調が出来ない為、全然息が合っていません。」
この前の様子を思い出し納得する。
口喧嘩ばかりして、危うく私の攻撃を食らうところだった。
この訓練は副隊長の為でもありますと言う小此木さんに、例え私の方が力を引き出せたとしても、この前のように途中で止めたりはしないと伝える。
怪獣はいつも全力でぶつかってくるのだから。
演習室の前に10号を着た宗四郎さんを見つけ駆け寄る。
お互い目を合わせ頷く。
「いいねぇ。俺の真っ赤な肌がよく似合ってる。」
肌!?
これ肌でいいのか…?
10号に雰囲気をぶち壊され、笑う私と、これから訓練やねんぞと呆れる宗四郎さんは、演習室に足を踏み入れた。
とりあえず、精神を同調させねば…。