第16章 10号
私と宗四郎さんが向き合うと、ナンバーズ10、ナンバーズ10sndの演習を始めるという小此木さんの声を合図に、私たちは刀の柄に手をかけた。
せかんど!?
これ、sndって名前なの!?
頭の中で驚いていると、宗四郎さんが動き出す。
「保科流刀伐術、3式……あっ、ちょ、10号!?」
3式を使おうとした彼を10号がしっぽを使い体勢を崩すと、しっぽが私に向かってくる。
宗四郎さんは上を向いている為、表情は窺えないが、相当怒っているらしい。
イラついた雰囲気が漂っている。
しっぽを避ける為、すぐに後ろに飛び、壁を蹴って彼に向かっていく。
刀を一度しまい、左側に帯刀している柄に手をかけた。
この短刀では無理だろうか。
「保科流……抜討術。」
「はぁあっ!?お前、なんでそれ知っとるんや!?僕、教えてへんで!?」
保科流抜討術。
第6にいたのはたった数日だったが、保科隊長に少しだけ教えてもらったのだ。
保科隊長は教えるのは下手だからと本当に少しだけだが…。
一振の刀を一瞬だけ抜刀させるこの技…まだ成功させたことはない。
だけど、もしこれを使えるようになれば、もっと強くなれる。彼の隣で戦える。たくさんの人を救える。
このスーツはそれを可能にしてくれるだろうか。
「1式、朧抜き…!」
宗四郎さんを追い越して刀を鞘に収める。
「美影痛いぞ、しっぽにもあてたな!?」
痛いと言っているということは10号にはあたったようだ。
あたった感触はしたが、斬れた感覚はなかった。
振り向いて宗四郎さんを見る。
「めっちゃ怖かったんねんけど!?僕の腕繋がっとる!?」
「繋がってますよ…。」
左腕を押さえる、傷一つない彼を見て答えた。
「副隊長、真面目にやってます?」
「それは僕やなくて10号に言えや。」
スーッと目を開き刀を構える彼を見て、刀を抜刀する。
やっぱり、二刀型の方がいいだろうか。
一刀型は1式しか使えないし、傷すら付けれないようだから。