第3章 辛苦
次の日、訓練を終えて一度部屋に戻った。
隊長にはこのあと話があると伝えてある。
鞄の中にしまっていた封筒を持ち、隊長室に向かう。
隊長室の扉の前で声をかけると、凛とした声が聞こえたので、入室し敬礼をする。
まずは適正審査をしないことを話し、そして机の上に封筒を置いた。
その封筒には退職届と書かれている。
先輩に襲われそうになり、副隊長とあの契約を結んだ後すぐに書いていたものだ。
「理由は。」
封筒の存在を認めると隊長は辞めたい理由を求める。
「ずっと努力してきましたが私には防衛隊になれるような………憧れの人のようにはなれないと思いましたので…。」
適正審査をすればお前の努力は目に見える数字になる、私はそう確信していると言われた。
「本当の理由を話してくれ。四ノ宮たちから最近のお前はおかしいと聞いている。」
キコルちゃんたち、隊長にまで…。
一応さっき言ったことも本当の理由なんだけどなあ。
どうにか話さずに辞めさせてもらおうと思ったが、隊長の意志が固く、結局私が折れてしまった。
「わかりました。1つ約束してくれましたら、話します。」
隊長は内容によると言った。
「保科副隊長を罰さないでください、絶対に。それを約束してくれましたら、お話します。」
それが叶わないのなら私は絶対に理由を話したりなんかしない。
隊長に向ける態度ではないが許して欲しい。
彼女は副隊長の名前に驚いたが、わかったと言ってくれた。
私は隊長を信じてる。彼女は約束を破ったりなんかしない。
今まであったことを包み隠さず全て話した。
話していく内に隊長の顔がだんだん怖くなっていって焦ったが、なんとか話し終えた。