第15章 不信
「ふっ、ははっ…勝手にナカに出して、勝手に子供欲しいからアフターピル飲むなって、飲んだら、自分の思い通りにならないから怒って?それで好きにして欲しいって?すごいね。」
スマホの画面を見ると、眉間に皺を寄せた彼が映っている。
私、なんでこんな怒ってるんだろう。
もうアフターピルを飲んだから大丈夫なのに、宗四郎さんも謝ってくれたのに…なのに、イライラする。
こんな風に怒る私を初めて見たからか、彼は少しの間固まっていた。
それか、何か言い訳を考えているのか。
「謝ったやろ。それに君かて、子供欲しくない理由言わんし、飲む前に一言言えたやろ。なんなん、なんでそんな怒ってるん?」
「謝った?自分の触りながら謝るのが、宗四郎さんの謝り方なんですね。それに、メッセージで謝られたって意味ないですよ。」
9号がいつ現れるかわからないのに子供を作ってる場合か、と笑った。
アフターピルのことは素直に謝った。
でも、飲む前に言ったとしても、飲むなと言われていただろうなと心の中で呟く。
眉間に皺を寄せていた彼は、今度は眉を八の字にしている。
もうええと通話を切られた。
意味わかんない、なんで切るの?
まだ話は終わってないじゃん。
もう一度かけてみたが、彼が出ることはない。
諦めてメッセージを送る。
なんで勝手に切るの、と。
すると、すぐにメッセージは返ってきた。
《あのまま話しとっても、君怒ってるだけやん。嫌われたないねん。怒らんといてや。》
意味がわからない。
嫌われたくないなら、あのままちゃんと話せばよかっただろう。
なんかもう、いいや。
《そうですか。なら、これからは全部あなたの言いなりなりますね。そういう子が好きなんでしょう?》
私って怒ると敬語になるんだ。
しかも、結構面倒臭い…。
返信が来たがそのまま無視してスマホを枕の横に置き、中途半端に脱いでいたズボンを脱いで布団の中に潜った。
私は今日非番だが彼はそうではないので、行ったとしてもほとんど話は出来ないだろう。
話せる時間はたった1時間…わざわざ行くべきではないだろうか?
会ったとしても、喧嘩ばかりになってしまうだろうか…。
本当はただ会いたい…。
少し、時間を置こう…。
とりあえず今は寝ようと思い、考えるのをやめた。