第14章 保科家
竹刀を構えてお義父さんと向き合った。
「好きに動いてくれて構へん。本気で頼む。」
お言葉に甘えさせてもらい、駆け出した。
宗四郎さんのお父さんならば、私が本気を出しても大丈夫だろう。
距離を詰めてすぐに竹刀を打ち込むが簡単に防がれてしまった。
その後も何度も打ち込んでいく。
全て躱されるか防がれるかだ。
お義父さんが攻撃を始めたのですぐに躱し、空いた懐に打ち込んだが躱されてしまった。
その後はほとんど私が攻撃を受けてしまい、一本すら取れなかった。
これで最後にしようと言うお義父さんの言葉を聞いて距離を詰め胴を狙うと、名前を呼ばれたので手を止めてしまう。
お義父さんの攻撃は私の脳天に落とされたが…。
「す、すまん!止めれへんかった。」
「いえ、大丈夫です。ありがとうござ…わっ!?」
後ろから腕ごと抱きしめられてバランスを崩し、そのままその人物に体重を預けてしまった。
「目ぇ覚めたらおらんくて焦ったわ。勝手に離れんといて、不安なるやん…。」
胸の下で交差していた腕は肩を抱き、攻撃をくらった頭を撫でてくれる。
撫でてくれるのは嬉しいが、恥ずかしい…。
目の前にはお義父さんがいて、縁側にはお義母さんといつの間にかいるお義兄さんがいるのだ。
寝てる間にちょっと離れたくらいで…と思ったが、寝てる間に離れたことはほぼないので、苦笑いをしながらごめんねと謝った。