第14章 保科家
一度Tシャツを脱いでワンピースに着替え、扉を開ける。
「宗四郎さん…お義兄さんとは仲良くしようよ…。」
「美影、なんで出てきたんや。中で待っとき。」
優しく返事をしてくれるけど、すぐにお義兄さんに向き直って不機嫌丸出しの声を発する。
袖を引っ張ってもうやめてと呟けば、振り向いてわかったと微笑んでくれた。
「ええか、絶対に美影にはなんもすんなよ、クソ兄貴。」
お義兄さんを睨んでからすぐに私の方に振り向いて、優しく微笑む。
「ごめんなぁ美影。もう寝よか。」
私の頭を撫でながら後ろ手で扉を閉めた。
お義兄さんが宗四郎さんに向かって、べーと舌を出していた。
教えたらまた面倒臭そうなので何も言わずに、Tシャツに着替えてベッドに潜る。
アラームをセットして、手を彼の胸に添えてくっついた。
そのまま宗四郎さんの心音を聞いていると、規則正しい寝息が聞こえてきたので、しばらくそのままでいた。
全然寝れない。
宗四郎さんの胸でじっとしていると、扉の向かうから彼を呼ぶ声が聞こえる。
お義母さんだ。
どうしたのだろう。
このままだと宗四郎さんが起きてしまうので、起こさないようにゆっくりベッドから抜け出して、開けることはせず、扉の前で少し待ってて欲しいと声をかけた。
すぐにワンピースに着替えて髪を耳にかける。
「あの、宗四郎さんもう寝てしまっていて…。」
一度部屋から出て話すと、どうやら私に用があるらしく、庭に連れて行かれる。
「美影さん、相手してくれへんか?」
庭に行くとお義父さんが竹刀の柄をこちらに向けながら目を見てきたので、目を合わせもちろんですと答えた。
いや、相手をすると言ってしまったが、ワンピースのままだとさすがにやばくないか?
「すみません、着替えてきてもいいですか?」
了承してもらえたので急いで宗四郎さんの部屋に戻り、起こさないようにスーツケースの中から防衛隊のジャージを取り出し着替えて髪を縛り、すぐに庭に戻る。