第14章 保科家
客間から離れてから痛いと文句を言うと、謝りながら手を離してくれた。
部屋につくと服を出してきてそれを着ろと言われたので、大人しく着替える。
着たけど、下はないの…?
Tシャツ1枚だけなのだが…。
宗四郎さんは上着とズボンを脱いで、私の手を引いてベッドに横になる。
めっちゃ布団かと思ってたけど、ベッドだった。
「メイクが…ついちゃうかもしれない。」
そう言うとすぐにタオルを出して枕に敷いてくれた。
タオルは汚しても大丈夫なのだろうか。
宗四郎さんはすぐに寝ようとしているが、私は寝れるはずがない。
まだ緊張しているのだ。
「寝えへんの?眠いやろ、一緒に寝よや。」
後で直すからとバレッタを取られた。
まだ緊張してるから寝れないと言うと、まだしとるのかと笑われてしまった。
「緊張ほぐしたる。」
「ひゃっ!?ちょ、やっ…ふふっ、だめ…あははっ!」
脇腹や脇の下等を擽られて大声で笑ってしまう。
すると、私の上に跨り横に手をついて見つめてくる。
「好きや。」
軽く触れるだけのキスをされた。
この雰囲気やばい?
さすがにこれ以上は何もしてこないよね?
その時、部屋の扉が開けられた。
「なーにしようとしとんのや?あかんでー。」
びっくりした…お義兄さんだ。
ノックもせずに開けるなんて…。
宗四郎さんの眉がピクピク動いた。
私が下を履いていない為、布団が捲れないように起き上がった彼は、お義兄さんの方を向く。
「なんもしてへんわ、普通に寝るだけやわ。勝手に入ってきてんちゃうぞ。」
うわぁ、めっちゃ怒ってる…。
大丈夫だろうか。
止めようにも、布団から出られないのでどうすることも出来ない。
とりあえず、見えないように起き上がって声をかける。
彼は起き上がった私を見て、すぐにお義兄さんを部屋の外に追い出し、自身も出て何か言い争っている。
子供の頃からあの調子なのだろうか…。
よく兄弟とかって、子供の頃仲悪くても大人になると、喧嘩しなくなるって聞くけど。